【センス・オブ・ワンダー】レイチェル・カーソンが伝えたかったもの

自然を感じる行動術
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レイチェル・カーソンという名を知らなくても「沈黙の春」というベストセラーというタイトルの本ならどこかで聞いたことがある方もいると思います。
「沈黙の春」は環境汚染を告発し農薬の使用を制限し、環境への意識を変えるきっかけとなった本です。
そのレイチェル・カーソンの最期の遺作である「センス・オブ・ワンダー」は、破壊と荒廃へ突き進む現代社会のあり方にブレーキをかけ、自然との共存という別の道を見出す希望を幼い子どもたちの感性の中に期待し、こどもたちに自然をどのように感じ取らせたら良いか悩む人々へのメッセージである。

自然と共存し、持続可能な社会を作り上げていく責任を持つ我々に、将来を担うこどもたちに対しての接し方や生き方、そして何を大事にすべきかを凝縮した著書です。

僕が共感し、心が打たれた素晴らしいフレーズと、そこから感じた素直な感想を少しだけ紹介します。

自然は支配するものではない

海辺には大きな波の音がとどろきわたり、白い波頭が叫び声をあげてはくずれ、波しぶきを投げつけてきます。(中略)
そのとき、不思議なことにわたしたちは、心の底から湧き上がるよろこびに満たされて、一緒に笑い声を上げていました。
それから二日ほどたった夜、わたしたちはふたたびロジャーを連れて懐中電灯のひかりをたよりに、波打ち際まで行きました。(中略)
わたしは、その場所、その瞬間が、なにかいいあらわすことのできない、自然の大きな力に支配されていることをはっきりと感じ取りました。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

僕たち、いわゆる人間界は自然界を支配しコントロールできるものだと勘違いをしている。
自然はわたしたちの一部であり、わたしたちは自然でもある。
新しい発見や驚きを与え、よろこびを感じることもあるし、あるいは大きな自然の偉大さを感じ直感的に自然にはかなわないことを感じる。
それは、やはり自然と接していないと湧き上がらない感覚なんです。

こどもの素直なこころを育む

私の膝に抱っこされて、じっと静かに月や海面、そして夜空をながめながら、ロジャーはそっと囁いたのです。「ここにきてよかった。」

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

自然は気持ちの良いもの、なんて教えて学ぶものではありません。
小さな子どもでも、自然の中で過ごすことで本能的に学び、それが様々な感覚を自然と呼び起こすことにつながるのです。

センス・オブ・ワンダーを大人になっても忘れない

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ち溢れています。
残念なことに、私たちの多くは大人になる前に澄み切った洞察力や、美しいもの、畏敬すべきもの絵の直感力を鈍らせ、ある時は全く失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもにの成長を見張る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに生涯消えることのない「センスオブワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性」を授けて欲しいと頼むでしょう。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

あるいは自然に対する好奇心と言い換えても良いでしょう。
この好奇心は大人になるにつれ、自然と離れる暮らしをするにつれ無くなってしまいます。
それはつまり自然に対する興味や関心もなくなってしまい、人間が引き起こしている様々な環境問題も無関心になることにつながるのです。
いつまでもセンス・オブ・ワンダーの心の火を絶やしてはいけません。美しい自然を美しいと思える感覚を鈍らせてはいけません。

ぼくたち大人の責任は

妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつまでも新鮮に保ち続けるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などをこどといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくとも一人、そばにいる必要があります。

センス・オブ・ワンダー, レイチェル・カーソン

大人たちが一緒に感じて、感動やよろこびを分かち合うことが大切なのです。
シェアリングネイチャーの精神。
父親でも母親でも、祖母でも叔父でも構いません。周りに自然へ連れ出してくれる大人と一緒に自然をシェアし、感動もシェアするのです。

教えるよりも経験させてあげること

わたしは、子どもにとっても、どのようにして子ども教育すべきか頭を悩ませる親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分に重要でないと固く信じています。
子どもたちが出会う事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子を育む肥沃な土壌です。
幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

我々親が色々と知識をつけて子どもに教えてあげる必要はありません。
こどもは自ら経験し、そこから感じて好奇心を持ち、それに芽が生えたら学びます。そうやって得た知識はしっかりと身につきます。
こども時代は大きな、肥沃な土壌を耕してあげてください。それだけでいいんです。

忘れていた感覚を呼び覚ますためにも

子どもと一緒に自然を探検するということは、周りにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性に磨きをかけるということです。それはしばらく使っていなかった感覚の回路を開くこと、つまり、あなたの目、耳、鼻、指先の使い方をもう一度学び直すことなのです。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

今まで自然と触れ合っていない生活が長かった人こそ、こどもといっしょに自然を探検するのです。
興味があるかどうか、関心があるかどうか、それは後回しでまずは体験してみるのです。
体験すれば、幼い子ども時代に感じた感覚が戻り、すべての五感の回路が正常になり、感受性がゆたかになり、そしてこころもゆたかになるきっかけとなってくれます。

見ようとしなければ見えない

わたしたちの多くは、周りの世界のほとんどを視覚を通して認識しています。しかし、目にしてはいながら、本当にはみていないことも多いのです。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

視界には認識しているが、そこから先の反応が無い。それは見ることに意識し、外の世界をちゃんと見ようとする気持ちがあって初めて見えるものだと思います。
窓から見える空と雲でもいいです。毎日通る街路樹でも良いです。
本当に見ようとしたとき、自然を感じてみようという気持ちになってから初めて気付きがあり感動が生まれるのです。

自然を感じることは心がゆたかになること

地球の美しさと神秘を感じ取れる人は、科学者であろうとかなろうと、人生に飽きて疲れたり孤独に苛まれることは決して無いでしょう。(中略)
地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力を保ち続けることができるでしょう。

センス・オブワンダー, レイチェル・カーソン

自然を感じれば多くの感情が生まれ感受性がゆたかになります。
そこから生きる力も生まれ、自然と共存しているという意識は孤独感を排除してくれます。

いつまでも素直でいて、少年のこころを忘れないことが幸せな人生を送ることにつながるのです。

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