微生物生ゴミコンポストを始めてからコンポスト生活が定着し、生ゴミを捨てない生活を維持しております。
自作したコンポストボックスも劣化や故障もなく使っております。
しかし、正直なところ苦労や手間もありました。
微生物による生ゴミコンポストのデメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
- 時間が経つにつれ分解能力が下がってしまうこと
- 夏にはコバエが沸いてしまうこと、ウジ虫が湧いてしまうこと
- 気温が高くなると発酵分解よりも腐敗が進み悪臭がしてしまうこと
- 毎日かき混ぜる必要があること
などです。
慣れてしまう、あるいは様子を見ながら生ゴミの投入量を考慮すれば問題ないことばかりですが、このデメリットを補いながらさらに生ゴミ処理量を増やすためにミミズコンポストを始めてみました。
ミミズコンポストとは
ミミズコンポストの特徴
ミミズが生ゴミを食べてくれることで分解され、その排泄物が肥沃な堆肥となります。
微生物による発酵分解とは違い、発酵過程が無いために発酵による匂いが出づらいため、虫が湧きづらい、という特徴があります。
基本的に有機物ならなんでも食べてくれるのですが、ミミズの好き嫌いがあり柑橘系やネギなどはあまり好まないため、入れない方が良いそうです。
ミミズコンポストの分解能力
微生物によるコンポストと比較すると若干ですが生ゴミの処理能力が落ちるようです。
一日あたりの処理能力は平均してミミズの総重量の半分と言われております。
例えばミミズが500グラムいたとしたら、1日に処理できる生ゴミ量は250グラム、ということですね。
ミミズの繁殖力は強く、半年で5倍以上に増えるためミミズが増えるにつれ処理能力も増えていく、ということになります。
しかし、ミミズが住む環境に敏感なところもあり、ある程度のミミズ密度になるとそれ以上は増えることができなくなる限界値があるようです。
ミミズコンポストはミミズさんが移動して食べてくれるため、生ゴミを定期的にかき混ぜる必要もなく管理が楽なのが特徴と言えます。
ミミズの種類について
夏場に見かけるような道路で干からびている大きく太めのミミズはフトミミズと言います。
対して釣り餌などで使われる細いミミズはシマミミズと言います。
コンポストに適しているのはシマミミズになります。
フトミミズ科があまり食べない生ゴミや腐敗している有機物も好んで食べ、巣穴を作らないので堆肥がかき混ぜられても問題なく、コンポストに向いています。
繁殖力もフトミミズに比べて旺盛で、寿命も2年ほどと長いです。
細くて縞模様のある、このような種類がシマミミズです。(苦手な方は閲覧注意)
ミミズのコンポストボックスについて
早速DIYです。
いろいろなタイプがあるなかで、重ねることができる収納ケースを使った重箱式タイプを作成してみます。
まず、同じサイズの収納箱を4つ用意します。
そしてそのうちの2つのケースの底をドリルで穴を開けます。
そして、穴を開けた箱を中段(2段目と3段目)にして、上部は逆さまにして重ねます。
上から1段目は蓋の役割で、2段目には生ゴミを投入するミミズの住処、3段目はある程度熟成された土とミミズが混ざる場所で4段目は受け皿です。
それぞれどのような役割かというと、
- 1段目:雨除けカバーと日光を遮断する役割
- 2段目:生ゴミを分解し、元気なミミズが生ゴミを分解し暮らす場所
- 3段目:ここには生ゴミは投入せず、熟成された堆肥とともにミミズが2段目と行き来できる場所
- 4段目:余分な水分はここに溜まり、コンポストティーが蓄積される場所です。
3段目が熟成され堆肥化されれば、3段目の堆肥は畑へ散布され、2段目にシフトします。そして2段目だった箱は3段目にスライドし、ここにまたミミズが行き来できるようなフレッシュな場所となります。
シマミミズの投入
次に、ミミズさんを投入します。
ミミズの入手法ですが、もともと堆肥づくりをしている方であれば、自然とシマミミズが湧いていると思うので、これを移植します。無い方は釣具屋さん(上州屋とか、フィッシャーマンとか、個人店で入手可能)に行けば500円程度で入手出来ますので、これを使ってください。
たまにアスファルトで干からびているのはフトミミズと呼ばれる種類なので、コンポストには向かないようです。
ミミズはヤシガラが好きなようなので、ヤシの木の繊維であるココピートを用意します。そしてもともと住んでいた土と混ぜ合わせ中段の2段目と3段目に詰めていきます。
ポイントとしては2段目と3段目でミミズが行き来できるように土が穴あき箱の底面に接するくらいたっぷり投入してくださいね。
ミミズコンポストの完成
ここまで出来ればミミズコンポストの完成です。
重箱式なので場所も取らず、また微生物による発酵での分解ではないため、匂いもありませんので虫除けカバーなども不要です。
これで勝手にミミズが増えていき生ゴミを分解してくれるようになります。
ミミズコンポストの運用方法
生ゴミ投入の注意点
まず、ミミズは繊細な生き物なので住む環境が変わってから1週間ほどは住処に慣れさせるために触らず放置しておきましょう。
制作してから1週間後くらいから生ゴミの投入を始めてみてください。
生ゴミの投入は土を少しだけ掘り上げ、埋めて土を被せるのがポイントです。かき混ぜる必要はありません。
生ゴミの投入は上から2段目の住処に投入しますが、毎回生ゴミの投入箇所を変えるようにしてください。たとえば1回目は右側、翌日は真ん中、翌々日は左側、というように同じ場所に続けて投入しないようにしてください。
注意点や設置場所など
注意点としてはミミズが元気よく生ゴミを食べてくれているか観察するようにしてください。ミミズが生ゴミを食べておらずずっと残っているようでしたら環境が合っていないのが原因かもしれませんので、そのときは生ゴミの投入を辞めて数日間様子を見てみてください。
設置場所は夏であれば熱くなりすぎない日陰、冬は寒くなりすぎない多少日当たりがある場所がおすすめです。暑すぎたらミミズが死んでしまうし、寒すぎると活動しなくなってしまい生ゴミを消化することができません。
面倒だな、と思うかもしれませんがミミズというペットを飼っているという気持ちが大事かなと思います。
ミミズと共生する生活を手に入れよう
ミミズコンポストを始めると、ほとんどの人がミミズが愛おしくなります。ペットを飼うような感覚になり、「元気かな?」「ちゃんとご飯食べたかな?」と気になるようになります。そうなればあとは試行錯誤でそれぞれの家庭でのやり方を実践していけるようになると思います。
ミミズが分解した土=ミミズのうんち=堆肥はとても上質で栄養価の高い肥料に生まれ変わります。
ミミズのおしっこ=コンポストティーは液肥として野菜に散布すれば健全に育ちます。
ミミズはあの「進化論」を唱えたダーウィンも夢中になるほど生物が生きていくために重要な存在だとして長年研究をしていました。
微生物のコンポストとはまた違う視点できっと毎日が楽しくなると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!
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